Soramichi's blog

Some seek complex solutions to simple problems; it is better to find simple solutions to complex problems

キューブ型PC(SX58H7)のCPUとファン交換

以前知り合いがいらないからともらったキューブ型PCのCPUに負荷をかけまくっていると非常にうるさい&性能が微妙に不満なので、CPUとファンを交換した。

基本的には Shuttle 社の SX58H7 というもの(これ)で、ただしベアボーンなので実際にどこのメーカーがCPUなどを組み込んで売ったのかは謎。キューブということで普通にバラして部品を交換できるか微妙だったが、あけてみるとちゃんと自分でバラせるようになっていた。(ベアボーンなのでバラせて当然?)

f:id:sorami_chi:20180102011018j:plain 外観。光学ドライブのフタが壊れている。

元々ついていた Core i7 920 はなんとSandy Bridgeより以前の世代でIntelの用語では「過去のプロセッサ・ファミリー」と呼ばれているが、やらせたい仕事がフェッチするデータ量が少なくかつconditional branchもあんまりない(と思う)という純粋に力勝負的なワークロードなので少しアップグレードすればまだまだいけると判断した。

ファンは一つしかなく、CPUから伸びたヒートシンクに風をあてて温まった空気を外に排気するという方式だった。Shuttle社公式の組み立て説明動画ではヒートシンク等のCPUまわりは6分ちょうどあたりから出てくる。なお動画ではヒートシンクとファンが合体して見えるが、これは実は別々になっていてファンを交換するだけなら本体後ろのネジをはずすだけで交換できる。

f:id:sorami_chi:20180102011015j:plain ケースをあけたところ。左の横向きについているファンでヒートシンクから来た熱を外に出す。その手前はグラボで特に必要ないがネジ山がつぶれてはずせなくなってしまった。

ついていた超うるさいファンは AD0912UX-A7BGL という型番のもので、どうやらこれがイマイチらしい。米アマゾンのレビューでも "it sounds like a Pentium 4 case fan" とか "sounds like a meat grinder" とか書かれている(meat grinderはなんかソーセージを作ったりするのに使う肉粉砕マシーン??)。交換先のファンは GELID 社の Silent 9 というものにした。日本ではサイズ社が輸入して販売しているっぽい。アキバで1000円くらいで売っていた。気にしたポイントはPWMで回転数が制御できるものであることと、なんか静音っぽい製品であること。本当は羽の数とか回転数とかを見たほうがいいんだろうけど、ファンのことはあまりよくわからないので感で決めた。元々のものは 90mm でこれは 92mm と書いてあるけど、90mm と 92mm のファンは実際は同じ大きさらしく(?)、ベアボーンの部品であるファンを囲うアルミフレームに問題なく設置できた。

次にCPUだが、やらせたい仕事が純粋CPU勝負かついくらでも並列化できる(weak scalingできる)タスクなのでなるべく周波数が高い&コア数が多いものが有利である。元々ついていたCPUと同じソケット(LGA1366)にささる中で一番コア数が多いのは Xeon X5690 で、周波数も十分高いので理想的にはこのCPUがよい。ただしXeon系CPUはあまり中古で出回っていないこと、元々ついていたCore i7 920よりマイクロアーキテクチャが1世代進んでいるのでBIOSを更新しないといけないかもしれない(かつベアボーン自体が古いのでもう新しいBIOSをダウンロードできないかもしれない)ことが微妙なポイントだった。

結局アキバの中古を扱う店で売っていた Core i7 965 Extreme Edition を購入した(Xeonは案の定売ってなかった)。歳末特価ということで(購入したのは12/31)、4900円で買えた。ヤフオクでは6500円程度で落札されているっぽいのでかなりオトクだった。なお発売当時の価格は $990 だった模様。実は中古のCPUを買ったのははじめてだけど、CPUはストレージや電源ユニットと違い冷却ミスで燃えない限りほぼ壊れないのでちょっと前の世代のCPUを中古で買うのが一番コスパがいいかもしれないと感じた(特に自宅で使っていてHWトランザクショナルメモリとか Cache Allocation Technology とかの新しいハードウェア機能がいらない場合)。あとはめっちゃ安いグリスを購入して終了。グリスの違いは自分で試したことがないのでよく分からない。

CPUの交換時にソケットのピンをちょっとひっかいた気がして不安だったが(LGA1366はCPU側ではなくソケット側にピンがある)、組み直してちゃんと起動できた。ヒートシンクがばっちり熱くなっているのでグリスは安物でOKだった模様。たぶんファンの回転数が元々のものより低くなっていて、音は静かになったが冷却性能はかなりギリギリな感じがある。冬はいいけど真夏は最大負荷で常用するのは無理かも知れない。その代わり音は劇的に静かになって、最大回転数の一段階手間までは隣りにあるNASのHDD動作音にかき消されてわからないレベルになった。最大回転数だと少し音が聞こえるが、まったくうるさいという感じではない。

一番問題のワークロードの性能は16%強改善された。コア数、キャッシュサイズ、マイクロアーキテクチャは元々のCPUと一緒なので純粋に周波数が上がったことによる効果である。なお今回はワークロードが完全に100%CPU勝負だと分かっているからの判断であり、一般にはメモリの性能(帯域、レイテンシ)もかなり効いてくるので周波数の比較だけで性能を議論するのは実はほとんど意味がない場合が多い。また搭載しているコアが数世代違うマシンの周波数だけを比べるのは現代と100年前の幸福度を給与の額面で比べるくらい意味がない